いない同盟

乃木ヲタの雑記

今だから振り返りたい『おいでシャンプー』MVと、4期生のこと

 

 はじめに

 生駒里奈さんの2期生に向けた言葉や卒業後にTVで語った言葉が、事あるごとにヲタクたちによって都合の良い形で切り貼りされて好き勝手に振りかざして使われていて、生駒里奈さんのヲタクとして、また乃木坂46のヲタクとしてとても気分が悪いので、いろいろと書き殴ります。グループがクリエイティブの中でどのような表現をしてきたのかを根拠として、またある場面に対峙したときの生駒さんの振る舞いを振り返って、巷に溢れる偏った乃木坂のイメージに反論したいと思います。

 

 ”乃木坂はロックだ”*1

 

 

 

おいでシャンプーのMVをフルサイズで見たことありますか?

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おいでシャンプー|のぎ動画|乃木坂46公式 定額制動画サービス

 乃木坂46の2ndシングル表題曲『おいでシャンプー』は高橋栄樹監督によるドラマ風のMVで、一見すると清楚で爽やかな印象を抱くかも知れないが、実際に描かれているストーリーは”反抗”をテーマにしている。

 私立女子校を舞台としたこのMVは、生徒の生駒里奈とその親友の中田花奈の二人を軸にドラマが展開される。異性と共にいたところを補導された中田が『親族を除く異性との交流は学内・外を問わずこれを禁ず』*2の校則に基づいて退学させられるという噂を聞いた生駒は、友人らと共に「花奈は冤罪」だとして処分を取り消すように学校側に抗議を始める。その一方で、制服からエンブレムを剥奪された中田は自らの行動を振り返り、後悔の言葉を口にすると共に、性行為に及んだことも暗に示唆するシークエンスからドラマは始まる。つまり、中田は冤罪ではなく実際に校則(ルール)を破ったわけだが、生駒たちはそれを知らず、あくまで「花奈はムジツ」だと信じて学校側に訴えを起こしており、両者の間ですれ違いが発生した状態で物語が展開されていくのである。では、そのすれ違いに気づき、真実を知った生駒たちがとった行動はどのようなものだっただろうか。

 音楽室に立て篭もり、拡声器とビラを用いて中田の退学処分を取り消すように求める生駒たちを見て、学校側は中田に自ら抗議を止めに行くように求める。教師に促された中田は、生駒たちが立て篭もる扉の前で「私は冤罪なんかじゃない」と告白する。しかし、その告白を聞いた生駒たちは抗議をやめることはせず、むしろ中田を制裁する校則(ルール)や自分たちを縛る規範の方にNOを突きつけたのだ。生駒たちは『清く正しく』『清廉潔白』などと書かれた額縁をその他学校備品と共に2階のバルコニーから地面にむけてぶん投げて教師たちをビビらせた後、勢いよく音楽室から飛び出す。生駒は扉の前にいた中田を強く抱きしめたあと、みんなと共に笑顔で校舎の外へと走り去っていく。その際に地面に散乱する額縁や備品が踏みつけにされるシーンが挟まれるのだが、今の乃木坂にも通じるイメージである『清楚流麗』の文字を思い切り足蹴にしていく様は何とも痛快だ。そして最後に、教師たちの壁を突破した彼女たちは、エンブレムが大きく象られ、自分たちを縛る校則が載っている生徒手帳を空にむけて思い切り投げ捨てる。(少女革命ウテナの最終回じゃん)

 このMVの素晴らしいところは、グループに背負わされた”清楚”のイメージがときには彼女たちを縛りつける規範になり得ることを批判的に描いているところだ。そして、そんなものに縛られる必要はないのだという力強いメッセージが込められているのである。何の疑いもなく”清楚”こそ乃木坂46であり、守るべきイメージだと語られる今こそ、『おいでシャンプー』のMVを見返して、そこで訴えられている言葉に耳を傾けてもらいたい。

 

 4期生楽曲『4番目の光』の歌詞にこんな一節がある。

 ”エンブレムに相応しい未来 汚さぬように頑張るしかない”*3

 乃木坂46のエンブレムを背負う者として、憧れの先輩たちと同じグループに所属する者としての決意を歌うこの曲。しかしおいシャンのMVを見ても分かるように、実はその先輩たちはグループのクリエイティブの歴史の中ではエンブレムに縛られるような存在ではなかったし、清楚を踏みつけて青春を謳歌する清々しい背中を見せてくれる、ロックでかっこいい人たちだったのだ。

 

 

 おいシャンのMVの中ではたとえルールを破ったのだとしても仲間の手をとることを選んだ生駒里奈さん。では、MVの外側、現実では彼女はどんな振る舞いをしてきたのかを少し語りたいと思います。なんかTwitterでは生駒さんが過去にブログに載せていた手紙やテレビでの発言が勝手に切り貼りされてるけど、生駒里奈さんという人は、MVと同じように、現実でも仲間の手を取る人だった。誰よりも先に仲間を庇う人でした。松村さんの時も一緒にラジオに出て彼女に「支えるし、守ろうと思う」と励ましの言葉をかけていたし、川村さんの報道が出た後にも、自身の公式ブログで川村さんとのツーショットを載せていました。報道されたメンバーを庇うような行動や言動をとれば”共犯”だと見做されることもある異常な世界で(犯罪でも何でもないのにね!)、実際生駒さんにも当時このような反応があったわけですが、彼女はそんなことで仲間を切り捨てるような人でもこれまでの頑張りを否定するような人でもなかったわけです。そもそも生駒さんが常から口にしていたアイドルとしての覚悟は、彼女が初代センターとしてグループを背負っていた責任や、またセンターから降りた後も看板として同期や後輩のために自らを律するために言っていたことであって、決して他人を叩くためのものではない。なんで乃木坂でセンターに立ったこともなければ何も背負ってないヲタクが勝手に生駒さんの言葉使ってるの???生駒さんは乃木坂のメンバー全員を命をかけて守りたいと語る人なので、生駒さんの言葉を振りかざしてメンバーを叩いてるヲタクこそ敵。恥を知れ!!!生駒里奈さんの卒コン今すぐのぎ動画で見ろ

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  • おいシャンMVから4期生ドラマ『猿に会う』へ

 さて、おいシャンのMVについて語ってきたが、乃木坂46の映像作品の中でもおいシャンとの繋がりが感じられるドラマがあるのをご存知だろうか。それが2020年4月からdtvで配信されたドラマ『猿に会う』である。

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 直木賞作家、西加奈子原作の短編小説をドラマ化した『サムのこと』と『猿に会う』。このうち賀喜遥香、清宮レイ、柴田柚菜が主演の『猿に会う』は、『おいでシャンプー』のMVと同じ高橋栄樹が監督を務めている。「冴えない女子大生三人組が旅行を通して自分たちの冴えなさを受け入れる」このドラマは、『サムのこと』と比べて一見すると地味なストーリーに思えるかも知れない。しかし、おいシャンのMVとはまた違った形で世の中の規範を描き、そこから我々を解放するメッセージが込められているのだ。このドラマの素晴らしさについてはすでに語られている良い記事があるのでそれを参照してもらいたい。

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 物語の冒頭で恋愛経験のない大学生の飯田まこ(賀喜遥香)が、世間の価値観と照らし合わせて自分にコンプレックスを抱いていることも、妹の「妊娠」を葛藤混じりに静かに重く受け止めることも、旅を通じて出会う事件や友人たちとの繋がりによって解かれる。最後には「これでいいんだ」と自らのことも、また妹のことも受け入れられるようになる。

 最終話で妹の妊娠を打ち明けたまこに、きよとさつきがかけた言葉の真っ直ぐさ、それを受け取ったまこの涙の美しさ。そしてラストシーンのバスに揺られる三人の姿は、おいシャンのMVのラストシーンとは、また違う清々しさがあった。

 

  • 乃木坂が示す価値観

 デビューから間もない2作目のシングル作品でも、去年配信された最新の映像作品でも、彼女たちは自らを縛る社会の規範や背負わされたイメージをただ受け入れるような姿勢は見せていないし、むしろそこに疑問を投げかけることをやめていない。にもかかわらず、巷では何かあるたびに「乃木坂のイメージを汚された」とされてしまう。しかしその「乃木坂のイメージ」とは一体何なのか、それは本当に彼女たちがそのキャリアを通じて発信してきたクリエイティブと一致するものなのか。むしろ、彼女たちを凝り固まった旧来の価値観で縛ることこそ乃木坂の築き上げてきた作品やそこにあるメッセージを否定する行為なのではないか。一人歩きする「清楚」の言葉を疑いもなく乃木坂に当てはめる前に、グループが積み重ねてきた作品や、メンバーが個々に発信してきた言葉から読みとることをしていきたい。そこから見えてくるものこそ、単なる”イメージ”ではなく、乃木坂を示す価値観だと思うので。

 

  • まとめ:新規ファンに言いたいこと

 古参のヲタクがうるさいせいで肩身が狭い思いをすることもあるでしょう。まだファンになる前の乃木坂やそこにいた人たちの言葉を振りかざして来られたらそれが重く感じるかもしれない。でもそういう人にこそ1期や2期の歴史を自分で調べて自分の心で解釈して欲しいし出来れば1期のことも好きになってほしい……だいたいは3、4期のこと気に入らないヲタクが勝手に言ってるだけだし、生駒さんは在籍被ってない4期のことも公で褒めてる人だし、他の1期も2期も3、4期のこと大事にしてるのが分かるから。北野日奈子ちゃんなんて「全人類と戦っても後輩を守りたい」*4ってインタビューで言ってた。この記事でも語ったように初期から現在の4期生にきちんと乃木坂のクリエイティブは繋がっていて受け継がれているし、確実にグループの表現を広げていける存在なわけで、4期生すごいよほんと……サム猿とかみんな演技うまくてびっくりしたもの。

 あとは4期生が頑張ってるのなんて4期のファンなら知ってるわけで、応援するのに何も心配する必要ないし、キモいルールなんておいシャンのMVよろしく放り投げて踏みつければいいし、好きであることが揺らぐ必要はないし、かわいいことは真理なので。松村沙友理さんの個人PV*5でも言ってた。「かわいい」じゃん、そこに嘘も本当もないじゃん。

 新規ファンでもちゃんと乃木坂の歴史を学んでちゃんとかつていたメンバーのことを知れば、所謂「愚痴垢」とかが語る乃木坂論がいかに馬鹿げてるか分かると思う。だから安易に、3、4期が叩かれるからと1期や2期のアンチにはならないでください。楽しくヲタクしような、あと頼むから5期や6期が入ってきた時には優しくしてね、約束ね。あとできれば若いヲタクは今のアイドルの人権が蔑ろにされている現状を一緒に変えていこうとしてくれると嬉しいですね、好きなアイドルが自由な選択をできないのは悲しいので。同じ考えの人が増えますように

 

*1:

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*2:この校則には『ただし、許嫁はこれに該当せず』という文言が続く。これに生駒が「許嫁って、江戸時代の話じゃないの?」と校則の時代錯誤っぷりに突っ込むシーンは印象深い

*3:『4番目の光』 作詞:秋元康 作曲:杉山勝彦

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*4:

*5:松村沙友理 個人PV『うそつき』

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